リビングに置くスピーカーは、機能の優劣だけで選びにくい道具です。家具と並んだときの佇まい、夜の光に対する見え方、そして家族や来客の目に映る雰囲気まで含めて納得できる一台を探していて辿り着いたのが、Edifier D32 でした。数ヶ月リビングで鳴らし続けた今、レトロな木製キャビネットと現代的な接続性が同居するこの一台が、毎日の音の置き場として馴染んできています。
この記事では、AirPlay2 や Bluetooth 5.3 LDAC を備えた D32 が、リビングという「集中して聴く場ではない場所」でどう振る舞ってくれるかを、平日と休日のシーンに分けて書き残しておきます。スピーカーをインテリアの一部として考えたい方に届く内容にしたいと思っています。
リビングに馴染む木目調のスピーカーが欲しい。けれど、無線接続の手軽さも、ハイレゾの音の良さも諦めたくない。そう感じている方に届けたい内容です。
この道具について
Edifier D32 は、60W RMS の出力を持つワイヤレススピーカーです。1950 年代のヴィンテージオーディオを思わせる木製キャビネットと、現代の Bluetooth 5.3 / LDAC / AirPlay2 / USB-C / 3.5mm AUX を一台に収めた、見た目と接続性のバランスを取った構成が特徴です。バッテリー内蔵で、家の中ならコードレスで持ち回せます。
ざっくり仕様
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 総出力 | 60W RMS(ツイーター 15W ×2、ミッド/ロー 30W) |
| ドライバー | 4 インチ ロングスローミッド/ローウーファー、1 インチ シルクドームツイーター ×2 |
| 音源対応 | 24bit/96kHz Hi-Res Audio |
| 入力 | Bluetooth 5.3(LDAC、最大 990kbps)/ AirPlay2 / 3.5mm AUX / USB-C |
| バッテリー | 7.4V/5,200mAh(最大 11 時間再生) |
| サイズ | 約 342 × 120 × 212mm |
| 重量 | 約 2.3kg |
| カラー | ブラックウォールナット / ブラウン / ホワイト |
外観の佇まい
パッケージを開けた瞬間に感じるのは、樹脂筐体のスピーカーとは違う「木の温度」でした。手作業で組まれた木製キャビネットに、ファブリック素材のスピーカーグリル、そして真鍮風のアクセントが効いたアナログなボタン配置。家具と並べても主張しすぎず、けれども存在感は残るバランスに仕上がっています。

私はブラックウォールナットを選びましたが、リビングのウォールナット家具との相性が想像以上に良く、置いた瞬間に「ここに住む」感覚がありました。ブラウンとホワイトもラインナップされていて、家のトーンに合わせて選べる幅があります。

暮らしの中で使ってみて
D32 は「集中して聴く」よりも「生活の背景に置く」ためのスピーカーだと、使い続けてわかってきました。一日の中で D32 が鳴っている時間を書き出してみます。
朝、コーヒーと一緒に立ち上げる時間
平日の朝は、コーヒーを淹れながら軽いジャズを流すのが習慣になりました。D32 の中音域は温かく、アコースティック系の音楽との相性がとても良い。リビングのソファに座って淹れたコーヒーを口にする時間が、なんとなく豊かに感じられます。出勤前の慌ただしさを、音が少し緩めてくれる感覚です。
休日の読書時間、邪魔にならない量感
休日の昼下がりは、クラシックやアンビエントを小音量で流して読書に集中します。シルクドームツイーターの高音はキンキンせず、本に視線を落とすときに耳元で邪魔をしません。30% 出力ほどで、リビング全体に薄く音が満ちる感覚が心地よく、ページをめくる手が止まりません。

iPhone から AirPlay2 で直接届く音
D32 を選ぶ決め手のひとつになったのが AirPlay2 対応でした。iPhone の Apple Music からアプリを開いて、出力先を D32 に切り替えるだけで音楽が部屋に広がります。Bluetooth と違って遅延が少なく、ペアリングの煩わしさもなし。家族が来た時に「これ流して」と言われて即対応できるのは想像以上に便利でした。
バッテリー駆動でキッチンや寝室へ
7.4V/5,200mAh のバッテリーで、中音量なら 10 時間ほど鳴り続けます。週末の昼食準備中にキッチンへ持っていったり、寝る前に寝室で小さく流したりと、コードレスで部屋を回せるのが暮らしの幅を広げます。2.3kg と軽量級ではないものの、片手で取っ手代わりに上面を掴んで持ち回せる範囲でした。
良いところ・気になるところ
良いところ
- 木製キャビネットとファブリックグリルの組み合わせがリビングのインテリアに馴染む
- AirPlay2、Bluetooth 5.3 LDAC、USB-C、AUX を一台で受け止める接続性の幅
- 中音域の温かさが、ジャズやアコースティック、ボーカルものとの相性が抜群
- 5,200mAh のバッテリーで部屋を回せる、コードレス運用の自由度
- 2 サイズと 3 色のカラー展開で、家のトーンに合わせて選べる
気になるところ
- 大音量で鳴らすと中低音にやや粗さが出る場面がある
- 2.3kg と少し重く、頻繁に部屋を移動させたい用途には負担になる
- 専用アプリの UI は最小限で、細かい EQ 調整を期待すると物足りない
似た道具との比較
D32 を選ぶときに比較対象になったレトロ系・木製系のワイヤレススピーカーを並べました。価格はその時々で動くため、購入前に最新の動きを確認してください。
| 機種 | 出力 | 接続性 | バッテリー | 佇まいの方向 |
|---|---|---|---|---|
| Edifier D32(本機) | 60W RMS | BT 5.3 LDAC / AirPlay2 / AUX / USB-C | 内蔵 5,200mAh(約 11 時間) | 木製レトロ、リビング家具と馴染む |
| Marshall Stanmore III | 80W | BT 5.2 / 3.5mm / RCA / 光 | 無し(AC 給電) | Marshall アンプ調、よりロック寄り |
| JBL Authentics 200 | 180W | BT 5.3 / Wi-Fi / AirPlay2 / Alexa / Google Cast | 無し(AC 給電) | レトロ × スマートスピーカー寄り |
| Audioengine A1 | 30W | BT aptX HD / RCA | 無し(AC 給電) | 木質筐体、温かいニアフィールド寄り |
価格帯としては D32 が一番手頃に手に届く位置です。Stanmore III と Authentics 200 はそれぞれ存在感が強く、リビングの「主役」になるタイプ。D32 はもう少し背景に馴染ませたい時の選択肢として、バッテリー駆動の自由度も含めて住宅向きでした。Audioengine A1 はサイズ感が小さく、デスクトップ寄りに使うなら好相性です。
こんな人に届けたい
- リビングに置くスピーカーは、まず見た目と家具との相性で選びたい人
- iPhone の Apple Music から AirPlay2 でサッと流す体験を日常に組み込みたい人
- 大音量で鳴らすよりも、生活の背景に音を置きたい派の人
- コードレスで部屋を回せる自由度を求める人
- Bluetooth と有線(AUX、USB-C)の両方を使い分ける運用をしたい人
逆に、大音量で部屋を満たしたい方や、シネマ用途で映画の重低音をしっかり鳴らしたい方には、もう一段大型のモデルを検討する余地が残ります。D32 は「部屋に音が満ちる」量感の道具で、「部屋を音で打ち破る」用途とは方向が違いました。
よくある疑問
Q. AirPlay2 の使い勝手は実際どうですか?
iPhone の出力先を切り替えるだけで音が D32 に飛ぶので、家族や来客に「これかけて」と言われた時に即対応できます。同じ Wi-Fi ネットワーク内なら毎回ペアリングし直す必要もなく、Bluetooth より圧倒的に手間が少なかったです。Apple Music で曲を選んでいる流れのまま、リビングのスピーカーに送れる感覚が日常的に効きます。
Q. 接続が途切れたり、不安定になることはありませんか?
数ヶ月使ってきて、Bluetooth が途切れたり AirPlay2 が見失われた経験はほぼありません。一度だけ Wi-Fi ルーターを再起動した直後に AirPlay2 のリストから消えていたことがありましたが、D32 の電源を入れ直すと数秒で戻ってきました。日常使いの安定性は安心して任せられる範囲だと思います。
Q. リビングではなく寝室で使うのは合いますか?
バッテリーで持ち回せる利点を活かして、寝る前に寝室へ持っていって小音量で流す使い方を試しています。10% 程度の音量でも音場が広がるので、就寝前のリラックスタイムには十分以上でした。サイドテーブルや本棚に置ける程度のサイズ感なので、寝室の家具配置とも比較的合わせやすいです。
Q. テレビ音声の改善目的でも使えますか?
3.5mm AUX に対応しているので、テレビのイヤホン出力からケーブル接続して試したことがあります。映画やニュースの人の声は内蔵スピーカーより明らかにクリアに聞こえました。ただし、サウンドバーのようにテレビと一体運用する想定の機器ではないので、メインのテレビ用途として考えるなら別ジャンルの選択肢の方が向いていると感じます。
まとめ ── 日常を、少しだけ整える
D32 を数ヶ月使ってわかったのは、「音がいい家具を一つ置く」という感覚に近いということでした。スペックの数字を見ると 60W という出力に物足りなさを感じるかもしれませんが、リビングの BGM 用途であれば過不足はなく、むしろ生活の中で角が立たない量感のちょうどよさがあります。
朝のコーヒー、昼下がりの読書、夜の食卓。それぞれの時間に音が薄く敷かれているだけで、リビングの密度が少しだけ変わります。木製キャビネットの佇まいと現代的な接続性を併せ持つこの一台を、家具を選ぶように選んでみてほしいです。
数ヶ月鳴らし続けた今、D32 は私の中で「音が良い家具」というカテゴリに収まりました。スペック表だけ見比べると上位機にもっと魅力的な選択肢がいくつも存在しますが、リビングという場所と暮らしのリズムに合わせて選ぶなら、この一台はちょうどよい立ち位置にいます。重量と価格と音と佇まいのバランスが、家族の生活時間と無理なく噛み合うサイズ感に整っているのが、毎日選んでしまう理由です。

